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佐藤玄特任助教のスピロ環形成の反応機構解析に関する論文が Chem. Pharm. Bull. 誌の Highlighted paper selected by Editor-in-Chief に選出されました

 佐藤玄特任助教・MEXT卓越研究員(兼任)は、計算化学・理論化学的手法を用いて、ジテルペン天然物 spiroviolene 生合成におけるスピロ環形成反応機構を解明しました。本研究成果は、2021年10 月1日付で日本薬学会の刊行する Chem. Pharm. Bull. 誌のオンライン速報版に公開されました。また、研究内容が高く評価され、同機関誌の”Highlighted papers selected by Editor-in-Chief” 及び J-STAGE で紹介する ”Featured Article” に選出されました。

発表論文

掲載雑誌名: Chemical and Pharmaceutical Bulletin
論文タイトル: Theoretical Study on the Mechanism of Spirocyclization in Spiroviolene Biosynthesis 
著者: Hajime Sato,* Taisei Takagi, Kazunori Miyamoto, and Masanobu Uchiyama*
DOI: 10.1248/cpb.c21-00536
論文へのリンクはこちら:https://doi.org/10.1248/cpb.c21-00536

研究発表の概要

 佐藤特任助教と東京大学薬学系研究科の内山真伸教授らのグループは、計算化学的手法を用いて、ジテルペノイドspiroviolene の生合成反応機構を解明しました。Spiroviolene は、スピロ環を含む 5/5/5/5 の四環性骨格を持つことを特徴とします。テルペン/テルペノイドは、3級カルボカチオン、アリルカチオン、シクロプロピルカルビカチオンなど、複数の安定なカルボカチオン中間体を経て生合成されことが知られています。しかし、先行研究において、spiroviolene の生合成では一般的に不安定とされる 2 級カルボカチオンの生成が提案されていました。佐藤らは、DFT計算に基づいて、spiroviolene 骨格に至る 16 ステップの新しい反応経路を導き出すことに成功しました。この反応経路では、隣接するC–C結合を切断してより安定な 3 級カルボカチオンを形成し、Wagner-Meerwein 1,2-methyl rearrangementを行うことで、不安定な 2 級カルボカチオンの形成を回避しています。

 本学応用化学科の佐藤研究室では、計算化学・有機合成化学・生化学の三つを柱として、天然有機化合物の謎を解明する研究に取り組んでおります。このような研究に興味をお持ちの学部生・大学院生・研究員、共同研究希望者の方は、当研究室のHP も是非ご参照下さい。

佐藤研究室HP: https://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~hsato/index.html