先輩からのメッセージ
先輩からのメッセージ
応用化学科の在学生と社会活躍している卒業生からのメッセージを紹介します。
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吉田 瑠 君 (仙台高等専門学校マテリアル環境工学科 出身) 平成31年度 3年次編入学 令和2年度 工学部応用化学科卒業 大学院医工農学総合教育部 応用化学コース修士1年(令和3年4月時点) |
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■山梨大学応用化学科への志望動機
・興味のある研究室があったため
・東京など大都市へのアクセスが比較的に良さそうだったため
私は受験当時、構造有機化学、超分子科学といった分野の研究に興味があり、山梨大学応用化学科の興味のあった研究室の先生のところへ見学に伺った際、様々な分野の研究室が密接に協力しながら研究をすすめる環境と大学全体に漂うのんびりとした雰囲気に魅力を感じました。このような環境であれば、自分のペースで自分の興味プラスαの化学が勉強できるのではないかと考え、志望するに至りました。
また山梨は東京に電車で1時間半ほどでアクセスできる立地にあり、帰省や生活するうえで便利だと思ったのも志望理由の一つです。編入学前の私はとあるアーティストにかなりハマっており、山梨の立地であれば東京経由で色々な場所のライブイベントに参加できるのではないかと考え、志望校を決めた側面もあります。
■入学試験対策について
・大学のシラバスを読んだ上で、大学1、2年で習う事柄を市販の教科書を中心に勉強した。
・高専の先生に口述試験の練習をしてもらった。
山梨大学応用化学科は専門科目の化学の口述試験があったため、市販されている有機化学や物理化学の教科書を中心に自習しました。他にも想定される試験問題の内容を基に口述試験の練習をしてもらいました。
振り返ると、化学系の学科に席を置く高専生の方であれば、4年間で習ってきた専門科目の知識を整理し、口頭試験の形式に十分に準備すれば難しい内容ではないと思います。
■入学準備と入学後の流れや感想
・入学前:単位認定の申請、入学手続き、奨学金の手続き
・入学直後:履修申告、前期授業スタート
合格が決まり、最初に行うのは単位認定の手続きです。履修申告については情報も少なく、高専で履修した単位がどれくらい認定されるかわからなかったため、入学するまで2年で卒業できるか不安でした。入学後に学生便覧をよく読むと、山梨大学工学部は教養系科目、専門科目、低学年における研究室ゼミや実験の単位が審査の上認定される可能性があるということが書かれていました。私の場合、高専時代の専攻は材料工学(主に金属材料の製造や物性、有機・無機材料)のカリキュラムであったため、応用化学科のシラバスと合致する科目は少なかったのですが、無事すべての申請単位が認定されたため、3年次の履修科目がとても多かったり、1、2年次の実習科目に参加するということはありませんでした。
私の場合、3年次で受ける授業のほとんどは高専で習った専門科目が主であったため、授業の進度や難易度に関して編入学前後でレベル差を感じることはありませんでした。学生実験でも、基本的な実験操作は高専時代の実験科目や卒業研究で経験したことがあったため、特に問題なくこなすことが出来ました。唯一編入後に苦労したことといえば語学系の授業です。一般的に高専生は英語が苦手といわれますが、その例にもれず私も英語が苦手で苦労しました。英語の勉強はコツコツ続けたほうがよいです。
山梨大学工学部にはフィロス、Gフィロスという特徴的な学習支援のシステムがあります。これら自習室に専任の教員が常駐し、前者は数学、物理を中心とする理系科目全般、後者は英語の自主学習をサポートしてくれるものです。私も3年次のときフィロスに入り浸り、日頃の講義でわからない点を聞いたり、理工系の雑誌や書籍で興味をもった話題に関して担当の先生とお話しました。フィロスには様々な学科の学生が出入りするため、編入学の学生でも見聞と交友関係が広げられとてもおすすめです。
■編入の選択・将来へのキャリアパス
・高専とは違う環境で化学の勉強や研究がしたかった
・強く興味をもった研究室があった
・博士課程に進学し、材料、化学、物理のバックグラウンドを活かした研究をしたい
高専の5年間では金属材料の物性や製造、加工といったどちらかといえば機械系よりの材料工学分野の勉強をしてきました。そのような学科で数少ない有機材料の合成や評価に取り組む研究室に配属され、卒業研究に取り組む中で「金属より化学のほうが楽しい!いまと異なる環境で化学の研究がしたい」と強く感じ、ちょうど興味のある研究室もあった山梨大学に編入学しました。
将来は博士課程に進学し、物理・化学・材料の分野の研究に携わりたいと考えています。現在は固体物理を専門とする研究室で有機合成、物性評価に取り組んでいます。当研究室は物理測定のノウハウは豊富にありますが、有機合成は高専で培ったスキル・経験をもとにほぼ独力で研究を遂行しています。自分の手で作った物質を使った物性の研究は大変なこともたくさんありますが、「次は何がわかるのだろう」というワクワク感でいっぱいです。今後も自分で新しい物質をデザイン、合成し、その物性を明らかにするような研究に取り組みたいなと考えています。
■編入学を考えている皆さんへメッセージ
・山梨大学応用化学科3年のカリキュラムは専門科目中心であるため編入生に比較的優しい
・教員や学生がとても親切、大学全体がのんびりしていて自分のペースで自分の興味を掘り下げられる
・高専生の強みは高い専門性と卒業研究を経て得られる研究の実体験
山梨大学応用化学科は高専から編入してくる学生に親切な教員、学生、制度と大学に漂うゆったりとした雰囲気が相まって自分のペースで自分の興味を深められる環境です。私は科学漬けの2年間でしたが、周りの編入生をみると、4年で就活したり、吹奏楽のサークル活動に勤しんだり、人それぞれの大学生活を過ごしています。このような自分のやりたいことと、大学で得られる専門的な化学の経験を両立できるのが山梨大学応用化学科最大の利点ではないかと私は考えています。
高専生は5年間みっちりと理工系の知識と技術を叩き込まれますが、この経歴は大学に入ってからも確かな実力として役立ちます。人によっては高専での経験を生かして、他の学部性とは一味違った研究に取り組めるチャンスすらあります。慣れ親しんだ環境とは異なる新天地で自分のもつ長所短所を見直す機会はそう多くはないでしょう。編入学が選べる高専生にはこの機会があります。少しでも編入学に興味をもったそこのアナタ、山梨大学応用化学科にきてみませんか。
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柴田歩美 さん 愛知県出身 令和2年度 工学部応用化学科 卒業 大学院医工農学総合教育部 応用化学コース修士1年(令和3年4月時点) |
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■応用化学科に入学した理由は?
将来美容品の開発に関わる仕事をしたいと考えて、愛知県からそれほど遠くない範囲で、応用化学を学べる大学を探していました。応用化学は、化学の研究成果を新しい物質や技術の開発に利用する学問分野で、範囲がとても広いことが特徴です。ですので、もし他のことに興味を持った場合でもいろいろな進路が開けると考え進学しました。
■留学経験があると聞きましたが?
大学に入ってからではなく、高校時代に1年間アメリカに留学していました。大学生になってから行くより費用も抑えられますし、英語力は将来の就職はもちろん、大学受験でも役立つと考えたからです。留学当初は、聞き取りはできても自分の言葉を上手く伝えることができませんでしたが、周囲に日本人が誰もいない状況だったので苦労しながらも英会話ができるようになりました。楽しいけどすごく大変だったというのが正直なところで、根性もかなり身についたと思います。
■今学んでいることを教えて下さい!
今は小幡誠准教授のゼミで、ドラッグデリバリーシステム(DDS)という体内での薬剤の効き方をコントロールする技術に関する研究をしています。薬というのは、「毒をもって毒を制す」という側面があり、病気を治すと同時に体に悪い副作用を起こす場合があります。DDSは、そういった薬の効果を最大限に高め、副作用をできる限り抑えることを目的としています。例えば薬が必要な場所でだけ効率良く働けば、使う薬の量も副作用も少なく済みますよね。これに関連するテーマで卒業論文を作成し、ゆくゆくは大学院に進学して更に研究発展させたいと考えています。
■学生生活で印象的だったことは何ですか?
友人たちと旅行によく行きました。普段の授業がある期間中はお金をためて、長期休暇に国内外問わず大きな旅行に出かけることが多かったです。お金も時間も自由に使える大学生ならではですね。行先は海外の場合はアメリカ、オセアニア、韓国など、人気の高い主要な旅行先はヨーロッパ地域やアフリカ地域以外は周ったと思います!新型コロナウイルスがいつか収束したら、また海外旅行に行きたいです。
■受験生にアドバイスを!
私は留学から戻ったのが高校3年の夏で、周囲と比べると本格的な受験勉強を始めるのが遅かったので参考になるかはわかりませんが、理数系の科目では基礎がわからないと当然応用問題も解けません。難しい応用問題には手を出さず、簡単な基礎問題をひたすら解いて知識を固めることを意識していました。満点ではなく、7割~8割を確実に狙うことも一つのやり方だと思います!
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海野孝仁 君 静岡県出身 令和元年度 工学部応用化学科 卒業 (令和2年3月時点) |
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■中学時代に目覚めた化学のおもしろさ、科学技術高校を経て山梨大学へ
中学生の頃、担任が理科の先生だったので、放課後は理科室で勉強をさせてもらっていました。勉強の合間に簡単な実験をさせてもらったりしていて、『化学っておもしろいな』と思うようになったのが、今の僕の原点です。
その後、科学技術高校の物質工学科に進み化学を重点的に学ぶなかで、さらに知識を深めてから社会に出たいと考えるように。応用化学科に進学した高校の先輩から話を聞く機会があり、興味と期待が膨らんだことが決め手となって、山梨大学への進学を決めました。
■化学の真理を追求し、人々の未来に貢献する応用化学科
応用化学科は、化学の力で世の中に貢献していこうという学科です。有機化学、物理化学、分析化学など幅広い分野に加え、太陽光や燃料電池といったクリーンエネルギーの研究もできます。僕は、無機化学を専門とする和田智志教授研究室に所属し、セラミックスについて詳しく学んできました。セラミックスは焼き物の一種でキッチン用品に多く見られますが、実は、パソコンのメモリーや電子部品などにも使われています。
卒業研究では、金属を使わないで「強誘電体」を作製するという大きなテーマを、代々の先輩方から引き継ぐ形で追いかけてきました。強誘電体はさまざまな電子部品に使用されている物質で、スマートフォンやパソコンにも入っています。現在は主に鉛などの金属が使われているのですが、人体への悪影響や、材料を輸入に依存しなければならないといったデメリットがあるため、新たな作製方法を発見してこれを解消するのが目標です。
すでにある論文の検証に加え、新しい方法で作製できないかということで進めています。かなり難しいテーマなので、成果を次につなげられるような形で残せたらと考えています。
■学びを活かして社会貢献したいと考え、化学メーカーへUターン就職
地元に戻り、勉強したことを生かせる仕事に就きたいと考えていたので、3年の夏に静岡の化学メーカー2社で短期のインターンシップをしました。就職に直結するわけではありませんが、企業で働く自分の姿をイメージできるようになったので有意義な活動だったと思います。
就職活動は、理系学生を対象にした合同説明会への参加から始めました。実際に会って話を聞くことはとても大切だと思います。また、大学のキャリアセンターは、詳しい資料が豊富にあり、エントリーシートの添削も受けられるので、大いに利用すると良いと思います。
4月からは就職試験が始まります。僕は3社受けましたが、同時進行ではなく、1社の選考が終わってから次にチャレンジする流れで進め、2社から内定をいただきました。
就職活動を通して感じたのは、地方では技術者が不足していて、理系学生への即戦力としての期待が高まっているということでした。
卒業後は静岡に戻り、高い技術力と長年培ってきたノウハウを有し、医療、自動車、住宅関連など幅広い分野でプラスチック製品を製造・販売している南部化成株式会社に総合技術職として勤務する予定です。高い技術力で作られた高品質な商品を発信し、地元 静岡を盛り上げていけたらと思っています。
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川上花音 さん 静岡県出身 工学部応用化学科 3年 (平成30年12月時点) |
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■幅広い化学の分野を学んでいます
理科が大好きで高校でも化学、物理を選択し、大学では幅広い化学の分野を学びたいと思っていました。山梨大学に進学したのは、この学科が自分の希望に合っていたこと、また親元を離れて一人暮らしをしてみたいという思いもあったからです。実際に学んでみると、授業は有機・無機・高分子化学や物理化学や化学工学と多岐にわたり、希望通りの幅広い勉強ができています。難しいこともありますが、楽しく学んでいます。
■もっと深く学びたくなる教育環境
今はまだ研究室に配属されたばかりです。ここは有機系の研究室ですが、個人的には物理化学にも興味を持っています。物理というのは、ミクロな世界がどうしてできているのかを知るのが面白く、もっと深く学びたくなります。山梨大学には博識でどんな質問にも応えてくれる先生方がいらっしゃいますし、友だちや先輩も良い人ばかりで、とても恵まれた教育環境にあります。将来はここで学んだ知識を活かせる教師や、がんの治療法の開発に携わる研究者などの道をと考えています。
■キャンパスライフ
競技百人一首部の部長をしながら、アカペラ部でも活動していました。百人一首部は地域の方や小学生を招いて、いろいろな方と試合をしましたし、アカペラ部はショッピングモールのイベントで歌ったり、他の大学と合同発表会もありました。こうしたサークル活動を通して多くの方たちと関わりを持てたことをうれしく思っています。
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RIZKY 君 (インドネシア出身) 修士課程(工学専攻)前期入試入学 平成31年 大学院医工農学総合教育部 応用化学コース(修士課程)修了 株式会社東京インスツルメンツ 勤務 |
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■『化学』や山梨大学応用化学科に興味を持ったきっかけ
静岡の日本語学校を卒業した後、自国で化学の授業を楽しんだこと、卒業後の就職を考えとてもよい機会だと思ったことが、山梨大学大学院の応用化学コースに進学することを選んだ理由です。 また、分からないことや新しいことを学ぶことにも興味があり、静岡県から山梨県へと移ることにしました。
再生可能エネルギーは、過去数十年来、最も重要なテーマになっています。石油や石炭を使い続けるといずれ枯渇しますが、一方でこれらが再び生成されるには数百万年以上かかるという推測もあります。特に私の母国であるインドネシアでは、化石燃料が主なエネルギー源として使用されており、環境問題も引き起こしています。しかしさまざまな研究と技術のおかげで、現在は風力、太陽光、水力などがこれらの一部を置き換えています。こうした背景もあり、私は山梨大学で応用化学を選び、太陽電池の研究を始めました。
■授業面/学生生活で印象深いこと
このキャンパスに対する第一印象は、快適で学びやすい環境だということでした。 春になると道に沿って桜が咲き、忘れられない光景になっています。
▲甲府キャンパス武田通り沿の桜並木
■今の仕事に就くきっかけ/大学で学んで仕事に役立ったこと
柳研究室では、優しい教授ととても協力的な友人に出会うことができ、2年間の教育を受ける中、日本で就職することを決めました。東京で新しいことに挑戦したいと思い、東京の商社に入社しました。現在、海外からの装置を扱う会社で働いており、主にメーカーと連絡を取って、さまざまな問題に対応する仕事をしています。特に、国、文化、言語が異なる人達と働くため、日本の大学で学んだ経験を仕事にも活かしたいと思っています。
■進学希望の皆さんへメッセージ
仕事の関係で出張するとき、その場所が平和で美しいと、山梨県甲府市を思い出します。このキャンパスは勉強するのに最適な場所なので皆さんにお勧めします。 私にとってこのキャンパスは、私の故郷であるインドネシアと同じく、快適に過ごせる第二の家のような存在です。
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田村 亜友美 さん 応用化学科 4年次 (平成24年4月時点) |
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中学校時代、試薬を使う実験を面白いなと思ったのが始まりで、化学が大好きになりました。応用化学科を選んだもう一つの理由は、母が見ていた海外ドラマの科学捜査に興味を持ったこともあります。入学してから一番関心を持ったのは、分析化学で、特に機器分析の授業は大好きです。化学は、いろいろなものを作れたり、測れたり、環境問題の解決にもつながる、そこに魅力を感じます。山梨大学は、先生方がとても熱心で、質問にも丁寧に答えてくださいますし、友達とも分からないところを教え合ったりして、よくコミュニケーションがとれていると思います。応用化学科の私の学年は全部で60人ですが、そのうち女子は10名ですので、いつのまにか集まって行動するようになり、学食で一緒に食事をしたり、時にはパーティーを開いたりしています。
化学が好きで、それを環境に生かすことに興味のある方、ぜひ学びやすい環境が整っている梨大の応用化学科に来てください。
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木村 正枝 さん 田中貴金属工業株式会社 技術開発部門 FC触媒開発部 平成19年 工学部応用化学科卒業 平成21年 大学院医学工学総合教育部修士課程修了 |
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大学受験の時、将来は化学を通じて社会に貢献できる仕事に就きたいと思い、山梨大学の応用化学科に進学を決めました。
1年生から3年生までは勉強に追われた記憶があります。一方で軽音楽部に入り学園祭や外で演奏もしていましたが、授業とサークル活動を両立させ、充実した日々を送っていました。3年生の終わり、いよいよ研究室に入るというときに、燃料電池や太陽電池の先導的な研究を行うクリーンエネルギー研究センターに出会いました。私はここで燃料電池の研究に取り組んだのですが、こうしたクリーンエネルギーが、地球温暖化や環境問題に大きく貢献できることに感動し、それからは研究にのめりこんでいきました。燃料電池は水素と酸素を供給し、反応させることで電力を取り出す発電装置で、ここには必ず触媒が必要になります。触媒とは、それ自体は変化しないまま、接触する周りの物質の化学反応の速度を速めるもので化学系の製造には欠かせないものです。触媒の研究を続けていくうちに、この研究をずっと続けて行きたいと気持ちが強くなり、現在の触媒メーカーに入社しました。ここを選んだもう一つの理由は、面接のときに人を大事にしてくれる会社だと感じたからです。仕事をするうえで、人間関係というのはとても重要なことではないかと思います。
時々、心が疲れると山梨を思い出します。山梨大学は、とてもアットホームな感じで、同学年の人たちとは卒業後も必ず年に1回か2回会っていますし、教授とお目にかかっても話がつきません。自然が豊かで、食べ物も美味しくて、山梨は今でも私の大好きな場所です。